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日本の行き詰まり

 

戦後の復興に続いて奇跡的な高度成長が実現できた要因としては
野口悠紀雄氏が「1940年体制」で指摘したように、
戦時下の統制的な経済体制がむしろ戦後の復興期に機能に機能
し、成長産業に効率的に資金を流せたことが大きかった。
加えて、デービット・アトキンソンが繰り返し指摘している
人口増加が主要因となりました。
成長を支えた製造業の工場モデルに過剰適応した、偏差値が高く素直
で、我慢強く、協調性があって、上司の言うことをよく聞く人間
が量産されてきたわけです。
バブル経済の崩壊から30年近くが経た今なお、戦後の高度経済成長
があまりにも成功したために、製造モデルから脱皮するのに苦労してい
ます。一方、世界は大きく様変わりし、まったく異なる成長モデル、
成功モデルが次々に生まれています。

行き詰まりの原因

モノづくり信仰の一方でGDPに占める製造業の構成比が二割程度、雇用
者数は約1000万人で全体の17%程度おなったことからわかる
ように、もはや製造業では社会全体を引っ張れない状況になっている
ことが主因です。代わって伸びているのはサービス産業です。
この30年間、日本の正社員の労働時間はほとんど減らず、年間
2000時間前後で推移しています。にもかかわらずGDPの平均成長率
は1%にとどまっている。日本と同様に少子高齢化が進行している欧州
では、年間労働時間は1300〜1500程度で平均2.5%近く
成長しています。
なぜ日本でこのように成長率が低迷しているのかというと、製造業か
らサービス産業へと産業構造が変化しているのに、人材も働き方も
製造業の工場モデルを続けているからです。
サービス業で問われるのは、与られった課題をこなす力よりも、課題を
見つけ出す力、新しいサービスにつながる独創的なアイデアを生み出す
力です。