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「本質」問題とは

本質問題

「それは表面的な現象であって、ことの本質ではない」
「イノベーションの本質は○○である」
本質という言葉は
.目に見えにくく
.シンプルで
.重要なこと
を示すことが多い
まさに本質とは抽象化の産物そのものである。
抽象を見ている人は表面的な具体しか見ていない人に
いらだちを覚えて、「本質」という言葉を具体派の人
たちによくぶつけまます。
抽象から具体はマジックミラーの関係があるので、
「本質を見よ」と言われただけで、本質が見られる
ようになる人はいないにも関わらず、この言葉を発する
ことが後を立たないのは、「見えてしまった人は見えない
がはがゆくて仕方ない」という人間心理に根差している。

本質のネガティブな面

この「本質」は割とポジティブな文脈で用いられ事
が多いので、わかりやすいがネガティブな面は考察
されにくい、ので考えてみる。
抽象化の特色として、自分の都合の良い性質だけを
取り出して解釈してしまう。つまり、この本質という言葉
もそのように使われる事が少なからずあるという事です。
誰かの意見に対して、「それはことの本質ではない」という
発言をすると、一見、「本当に重要なことではない」
という客観的な立場を述べているように見えます。
しかし、実際には、自分にとって都合の良いことを抜き出して
それと違うことが表明されたために、相手の意見があたかも
絶対的真理に反するような言い方をしながら、単に自分と違う
ということを表現しているに過ぎない。(大抵の場合、本人も
気づかず無意識のうちに)ことが多いのです。
「本質という言葉の本質」は、「自分にとって都合が良い性質
を抜き出したもの」であると言えるでしょう(というこの
発言自身も「本質の罠」にはまっていることがおわかりで
しょうか

「あいつはバカだ」

のときの「バカ」という言葉も、都合の良いように使われる
言葉の代表です。このように使われる場合の「バカ」という
言葉は、「自分にとって当たり前に知ったり理解したりして
いることを理解していない人」のことを指しています。
この定義に従う限り、自分は決してバカのカテゴリーには
入らないのですが、問題は人の数だけバカの定義が違うという
ことです。
要は「あいつはバカだ」というのは、「自分で勝手に限定した
(自分が得意な)特定の領域で、あいつは自分に比べて著しく
劣っている」ことを示しているだけで、それがどんなに狭い
領域だろうが、「自分が他人にとっては大バカである」領域が
どれだけ広かろうが、そんなことは関係ないのです。
「あいつはバカだ」を安易に連発してる人は、(自覚なしに)
自分の視野の狭さを露呈してしまっている。