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2つのパラドックス

モンティ・ホール問題

あなたは、3つのカーテンのA B,Cの前に立っている。3つのカーテン
のどちらか1つの裏に商品の自動車が隠されている。あなたは3つの
カーテンの一つを選び、そこに自動車が隠されていれば、その自動車を
もらうことができる。さて、あなたがカーテンAを選んだとき、選べれなかった
カーテンのうちのBを司会者が開いて見せて、「ここに自動車はありません」
という。そして、「残るカーテンは、あなたの選んだAと、私が開かなかったCの
2つです。あなたは今ならまだ、選ぶカーテンを変えることができます。
どうしますか?」と尋ねた。あなたはCのカーテンに選び変えるべきか?

これは、アメリカのテレビ番組で実際に視聴者参加ゲームとして行われて
いたものです。それゆえ、司会者であるモンティ・ホールの名前で呼ばれていま
す。

モンティの答え

「カーテンを変えるべき」が答えで、その理由は「カーテンCの裏に自動車が
隠されている確率がAより大きくなるから」です。

多くの人は「一つのカーテンが開けられ、自動車の隠された可能性のある
カーテンが2つになったのだから、どちらに自動車が隠されているかは五分五分
であり、どちらを選んでも確率は変わらないと」考える

<3囚人の問題/h2>

 

3人の囚人、アラン、バーナード、チャールズがいる。3人うち2人は
処刑され、一人は釈放されることが全員に知らされているが、誰が釈放される
かについては知らされていない。この時、アランは、看守に次のようなこと
を持ちかけた。「3人のうち2人は処刑されるのだから、自分ではないバーナー
ドかチーャルズか、どちらかは確実に処刑される。だから、そのどちらかかが
処刑されるかを教えてもらっても、私の利益にはならないはずだ。どちらが処刑
されるか教えてくれないか」。これを聞いた看守は、アランの主張をもっともだ
と納得して、「バーナードが処刑される」と教えた。するとアランはほくそえん
だ。なぜなら、次のように考えたからだ。「何も知らないうちは、私が釈放され
る確率は3分の1だった。しかし。バーナードが処刑されると知った今、自分と
チャールズの一方が処刑され、他方は釈放される。したがって。
私が釈放される確率は2分の1に上昇した」と

この3囚人の問題が、モンティ・ホール問題と同じ構造の問題であることは
わかるでしょうか。アランをカーテンA、バーナードをカーテンB、チャールズを
カーテンC、と読み替えて、釈放される人をカーテンの裏に自動車が隠されてい
ることと対応させてみましょう。看守が、バーナードが処刑されることを教えて
ことは、司会者がBのカーテンを開けて自動車がないことを見せたことにあたり
ます。このとき、Aのカーテンの裏自動車があることが、アランが釈放される
ことに対応します。

これも釈然としない、看守がアランでない処刑される人の名前を教えてくれただ
けで、アランが釈放される確率が上昇する。あるいは処刑される確率が現象する
のは、なんだか変だと感じるものです。
実際、処刑されるのがチャールズだと教えられても、結果は同じです。
すると、処刑される名前を教えてもら必要などなく、アランは自分の釈放される
確率を2分の1と推定できることになってしまいます。
ここで大事なことは、モンティ・ホール問題と3囚人の問題は、表裏の関係
になっている。ということです。つまり、一方の解答に納得できないなら、他方
の解答には納得しなくてはならないのです。

本質は同じである

両方とも、情報の入手によって確率が変化する、ということです。
「情報で確率は変化する」ことはベイズ推定の極意です。事前確率と事後
確率がそれを示すものでした。この2つの問題では、その情報による
確率の変化が多くの人の直感に反する形で利用されているのです。

モンティ・ホールの問題では、ゲームの参加者がカーテンAを選んだとき
カーテンAの裏に自動車が隠されている確率は3分の1であることは誰もが認め
るでしょう。したがって、司会者がカーテンBを開けてみせて、そこに自動車
がないことを知ったとき、自分の選んでいるカーテンAの確率が変化するのか、
それとも同じなのか。それが問題となっています。
考え方その1::
カーテンAとカーテンCの2つに一つとなったのだから、確率は5分五分となる。
したがって。したがって、カーテンAに自動車が隠されている確率は三分の一か
ら二分の一に上昇する。

考え方その2::
カーテンBに自動車がないことを知っても、カーテンAに自動車のある確率は変化
しない。したがって、その確率は三分の一のままである。したがって、カーテン
Cの自動車のある確率が3分の一から三分の二に上昇したことを意味する

この2つの考え方のうち、多くの人は、考え方1に与するという。わけです。
ポイントは、確率がへんかするのは、両方かCだけか、ということです。
Bの可能性の消滅によって、AとCの確率の少なくとも一方が変化しなくては
ならないのは当然ですが(正規化条件です)、それは一方なのか両方なのか。

同じことを3囚人で議論

アランが看守に処刑についての情報を求めた際の理屈には「バーナード
かチーャルズについて、どうせ、どちらか一方は処刑されるのだから、処刑
されるほうの名前を教えても私には利益がない」ということでした。
この「私には利益はない」とは「自分についての確率は変化しない」
と意味だと捉えることができるでしょう。
このことを踏まえ、2つの考え方に当てはめてみる。
考え方その1::

釈放されるのは、AとCの2人に一人となったのだから、確率は五分五分と
なる。したがって、Aが釈放される確率は三分の一から二分の一に上昇する。
考え方その2::

Bが処刑されると知っても、Aが釈放される確率は変化しない。したがって
その確率は三分の一のままである。これはCが釈放される確率が三分の一から
三分の二に上昇したことを意味する。

アランは考え方2を根拠に看守から情報を聞き出し、自分では考え方1を
当てはめ喜んだわけです。
もしも多くの人が、モンティ・ホール問題で考え方その1に与するなら、
3囚人の問題でも考え方1を採用して、アランmのように喜ばなくてはなり
ません。
逆に、3囚人の問題でアランが喜んだ理屈を変だと思うなら、考え方2に
与していることになるので、モンティ・ホール問題においても、カーテンを
選び変える戦略をとらねばならことになります。

多くの文献では

考え方その2が正しい、とされています。多い説明は「選択者自身に
ついて確率は変化せず。選択者の関与していない側の確率が変化する」
というものです。納得できる説明として。
今、宝くじ全部の中からあなたが一枚を選んだとします。そして、司会者
が、残った膨大な宝くじから1枚を残して、他の全てを破り捨てて、「私
が今破ったくじには、1等はありません」と言ったとする。残った1枚に
選び変えるべきか、それともそのままかの選択の場合を考えると良いとされて
いる。
しかし、ここで扱っているの確率は主観的なもであるので、伝統的な科学に
依拠する立場での正解はありません。
なぜなら、あなたが1枚選んだ時点で、そのくじが一等かそうでないかは
決定しており、変化するのは「あなたの主観的な推測の値」の方だからです。
解答は唯一とは限らないでしょう・