ネイマン・ピアソン推定の場合
問題を振り返る
目の前にツボが1つある。それは A か B のツボであるが外から判断できない
知識として、A のツボには9個の白玉と1個の黒玉が入っており、
B のツボには2個の白玉と8個の黒玉が入っていることを知っている。
今、ツボから1個球を取り出したら、黒球でした。
目の前のツボはどちらでしょうか?
事実1:A または B
事実2:A ならばおおよそ白球
事実3:B ならばおおよそ黒球
事実4:黒球(白球ではない)
ネイマン・ピアソン式では
事実2、3に「おおよそ」と入っているので論理的推論は使えません。
1つの判断を加えれば、論理的推論とほぼ同じ経路を辿って、推定を
行うことができます。
1つの判断とは、「おおよそ」における確率的な数値が一定の基準を満たせば
、間違った判断をしてしまうリスクは覚悟する。
例えば、10回に1回程度、すなわち、確率10%で間違った判断を下して
しまうことは仕方ない、と目をつぶる。このは判断の元では、次のような推論
が可能になります。
仮に A だと仮定します。そして事実2から、白球だと結論します。ただし、
この結論は「絶対に正しい」ものではありません。この結論は10%の確率で
誤りとなります。A のツボから取り出される球が黒球である確率が 0.1 だから
です。
わずか10%ながら間違う可能性を持つこの結論「白玉である」と、事実4
とを合わせると、矛盾が起こります。したがって、仮定であるAが否定され「A
でない」が導かれます。
このことを、統計学の専門用語で「仮設Aは棄却される」といいます。
ポイントになるのは、「おおよそ」を意味する確率10%を、判断を間違える
リスクとして受け入れた。と言うことです。
したがって、「Bのツボである」が正しいか、間違いか、そのこと自体は
分かりませんが、この方法で指定し続けると、わずか10%の確率ではあるが、
間違った結論を下してしまう。つまり「A のツボなのBのツボだと結論してしま
う。ことが起こります。
有意水準
「A が正しい場合にαと言う低い確率でしか起きないことが、実際に観測された
とき、A がそもそも間違っている判断し、仮設Aを捨てる、観測されなかったと
きは、捨てる理由がないから保持する」と言うことです
ここで帰無仮説Aを棄却するかしないかの基準となる確率αは、専門的に「有意水
準」と呼ばれます。
現在ではこの方法が広く用いられています。ポイントは有意水準αであり、これ
をいくつに設定するかが重要な問題となります。
有意水準αは「めったに観測されないような現象」の確率を意味します。
普通は5%(0.05)または1%(0.01)と設定されます。しかしこの数字は
科学的根拠はありません。
フィッシャーが適当に考えたらしい。