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盗作の問題

ロゴの盗作を具体と抽象で考える

オリンピックでロゴマークの盗作が問題となりました。
この議論でぬけていたと思われるのが、具体と抽象という視点です。
そもそも「似ている」「似ていない」というのは、具体で見るのか
抽象で見るのかによって異なります。
「全て違うの」のが具体で、「全て一緒」なのが抽象です。
類似しているかどうかは抽象度の高低によってそもそもの考え方が
異なるのに、それらが混同されて議論されることが散見されます。
デザインというのは抽象度を上げて単純化すればするほどバリエーション
は少なくなり「全てが同じ」になって行きます。

国旗のデザイン

国旗というのは基本的に長方形がベースになっていますから、この制約条件
でシンプルなデザインをし、なおかつそれなりの独自性を出そうと思ったら、
行きつく先は「横に3色」や「縦に3色」を代表とする相当少ない
バリエーションになります。案の定、ヨーロッパのいくつもの国が、「同じ
デザイン」を採用しています。
同様に「色の組み合わせ」にだけ着目すれば、ドイツとベルギー、あるいは
日本とオーストリア、ジョージア、ポーランド、モナコは全て同じことになって
います。

一般デザイン

単純な幾何学図形の組み合わせにすればするほどバリエーションは少なく
なり、似ている可能性は大きくなります。
絵画や音楽でもよく盗作が問題になりますが、音楽は所詮「ドレミファソラ
シド」の「何倍かの」組み合わせ、絵画も色の組み合わせであると考えれば、
抽象度を上げて類似点をとらえればとらえるほど、「似ている」ものが多い
存在することになります。